【小説】うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。8【感想】

広告


bookwalker.jp

大団円の巻

1巻で幼女を拾ったところから、ここまで予想できた人がどれだけいただろうか。予想した人がいたとして、8巻というハイペースでこのエンディングを迎えると予想できた人はさすがにいないと思う。

ということでデイルとラティナの結婚式。

まずは一の魔王の妹姫として、勇者の想い人としての社交界デビュー。ヴァスィリオに続きまたしてもアウェーで苦戦するラティナ。小動物のようにプルプル震える様子は庇護欲をかきたてられるが、さすがのデイルも大っぴらに甘やかすことができないので結果的に若干Sっぽくなってしまっている。

ひとまずこれで歴史の表舞台での話は終わり。

最後は庶民派魔王と残念勇者の結婚。じっくり時間をかけて”その時”の準備が進んでいく。

親友、クロエの結婚式、ラティナにウェディングドレスを着せるために行われる最後の馬鹿騒ぎ。

もうこの段階で周りからの愛されっぷりでホロリと来てしまう。

そして結婚式、花嫁を送り出す父親の気持ちと、花嫁を迎える花婿の気持ち。両方をデイルは味わう。読者的にはどういう感情で読んだ人が多いんだろう。個人的にはやっぱりジルベールみたいに成長を見守っていた娘が嫁にいくおっさんの気持ちが一番近かった気がする。

結婚式の描写はもうこの物語が終わるというのをひしひしと感じさせる語り口で、おめでたい雰囲気ながらも寂しさも募っていくところがあった。

クロエとリタに着付けされ、昔の様子の挿絵はもう完全に最終回の演出。

クロイツでの華やかな披露宴、ティスロウでの伝統的な結婚式を経てエンディング、と思ったら最後はモフモフ祭りだった。なぜ。

微妙に感動が吹っ飛んだ感じだが、本当のラスト、エピローグ。

少し未来の話、微かな足跡からその後彼らがどう生きたか少しだけ想像できる。

そして4人の家族。余韻もありつつ今の幸せな姿も見せてくれる。最高の締め方だった。

 

今回は本当に後日談も後日談という感じで出張編が終わったら後は最高のハッピーエンドへ向けて粛々と話が進む感じだった。

やはり終わりが近づいてくると感慨深くなっていろんなところでホロリと来てしまった。

この終わり方はファンタジーらしいきれいな締め方だと思う。文句のつけようがない。

ただ、まだなにかありそうなので個人的にみたいのは…テオとエマの成長と、グレゴールとローゼのその後かな。特に前者が非常に気になる。