疾風怒濤の巻。
うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら確実に魔王も倒せるかもを皆殺しにするに違いしれない。
3巻から1巻あたりの密度が濃すぎる。
ここでついにタイトル回収、というか魔王と戦うのってこの巻だけじゃん!
八の魔王となったラティナ。その力は他の魔王の永遠の生を限りあるものにしてしまうものだった。
7人の魔王の脅威となったラティナは殺されろうになるが、一の魔王の手により封印されることで命は助かる。
だがラティナはデイルの目の前でこの世界から消えてしまう。
ラティナを失ったデイルは魔王を害せるのは勇者以外には魔王しかいないという推理を元に世界に散らばる魔王すべてを屠る決意を固める。
ラティナを失ってからのデイルが悲壮すぎる。それでいて冷酷に状況を判断して最善の行動を取るところに勇者として重い宿命を背負っていた空恐ろしさも伺える。
魔王たちも痛感しているが、こんな相手を敵に回してしまったことが最大の悪手だったと言わざるを得ない。
一方でデイルとしても、3,5,6の魔王とは殺さずとも交渉次第で寿命を受け入れてくれたのではないかとも思う。とはいえ2,4,7の主戦派がいると穏健派もそちらが怖くて動けないし、主戦派=倒すのが厄介ということで後回しにせざるを得なかったわけだしやむを得ないか。
ということで7人いた魔王はわずか1巻で6人殺されてしまう。あれだけ前半から最強キャラ感を漂わせて因縁もあった二の魔王も勇者+魔王の眷属であるデイルにとっては軽くあしらわれ、屈辱の果てに殺されてしまう。
デイル怖い。とはいえ愛するもの旗を掲げ戦うというヒロイックファンタジーは熱い。
そして、デイルと同じ旗の元に集うクロイツの面々の想いにも胸が熱くなる。ラティナの愛されっぷりがすごい。約一名と一匹すごい方向にそれを発揮したがw
ということですべての因縁は最後の一の魔王の居るヴァスィリオへ。
一の魔王が女性であることを察していた人はどれくらいいるのだろうか。見事に騙された。ラティナを信じられなくてごめん。
うちの妹娘の為ならば、余俺は迷わずもしかしたら他の魔王も倒せるかもしれを見殺しにするに違いない。
一の魔王の正体はラティナ=プラティナの双子の姉フリソス。彼女は魔王となったラティナを助けるため決死の駆け引きをしていたのだった。そしてそれを手助けをしたのがラティナの友人シルビアとクロイツの人々だった。
重い展開も後に引き伸ばすことなく1巻で収めてくれたのはありがたい。
そこからのデイルの残念ぶりがいまだかつてない落差だけど。
今まで、ラティナから見てデイルがどれだけ大事か、というのは示されてきたけども、今回はデイルから見てラティナがどれだけかけがえのないものか、失ったあとの悲痛さ、非情さ、再会した時の涙で痛感させられる。こういうのがあるからデイルをただの過保護残念勇者と笑いきれないから困る。
勇者が魔王を6人倒した結果、残念勇者、庶民派魔王に続きシスコン魔王が登場し、三角関係になった5巻。