【小説】うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。4【感想】

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 急転直下の巻。

前巻、ラティナの精一杯の告白を反抗期と受け取ってしまったデイル。ケニスからラティナの恋心を知らされ、困惑しつつ仕事を理由に逃げ出してしまう。

微妙な空気のまま遠く離れてしまうことになってしまった二人。

デイルは改めて自分の気持ちを見つめ直す。ティスロウの長男であり勇者でもあるという微妙な立場ゆえに特別な相手を作らなかったという心情が明かされる。

それでいてラティナを手放したくないから彼女を小さな「うちの娘」としてしか見ようとしなかったという非常にめんどくさい状況でもあった。

前巻はデイルにこども扱いされて悶々とするラティナの視点で描かれたが今回はラティナを異性として認識せざるを得なくなって悶々とするデイルが描かれる。

前巻は恋に悩む乙女ということでにんまりしたが、今回は至極面倒くさい男の悩みである。とはいえ主人公らしくいろいろ背負っているデイルの状況に理解はできる。

一方のラティナは幼馴染のルディから告白され、奇しくもデイルと同じ状況に立たされ、改めて決意を固める。

そしてデイルの病気をきっかけに王都で二人っきりになり、ラティナの再度の告白にデイルは応える。

そして夜会の夜、二人はぎこちないダンスを踊るのであった…

 

で、終わっても充分綺麗なのにここからさらに話が動く。

再び年代ジャンプ。ラティナ16歳。

デイルはラティナとの結婚を考える(飛躍しすぎぃ!)

デイルなりに考えての結論である。一番の理由は(悲しいことに)ラティナがいろいろと成長してしまったことだけど。

そしてデイルとラティナが出会った日、プロポーズをして二人は婚約者になる。

まだ終わらない。

告白を受け入れた日からラティナの様子がおかしくなる。

夢の中で魔王に関わるなにかが彼女に起こっていることがわかる。

デイルから見てもその異常は明らかで、焦る彼はラティナと一線を超える。

しかしそれが最後の一押しとなって彼女は魔王となってしまう。

ラティナはデイルと同じ時を生きたいという願いを叶えるために魔王となったのだった。眷属となることで彼女と同じ時間を生きられると知ったデイルは迷わず眷属となる。

改めて彼女とともにあることを決意するデイル。

そんな中、ラティナが魔王になったことで、他の魔王が動き始めていた。

 

 とにかく一気に話が進んだ4巻。デイルとラティナが、離れた場所で互いの心に向き合うところは前回の甘酸っぺー!より進んで、特にデイルはまぁラティナを子供扱いするしかなかったのも仕方ないのかなという気分になる。気持ちを固めてからの行動はさすが主人公というべきかっこよさである。さすがに迷わず眷属になったところは驚いたけど。

公爵家で二人きりになった状況での二人のいちゃつきぶりは糖分過多でお腹いっぱいである。デイルがラティナを意識しまくって狼狽しているのが新鮮で面白い。そしてそんなデイルの目を通して語られるラティナがまた可愛すぎてもうもっといちゃいちゃしろよと思ってしまうから困る。

そして一気に婚約、早いな!と思ったけどその後の展開を考えるとそうなるか。しかしなぜラティナは育っていまったんだ……

そしてタイトル回収。ラティナが魔王になるんだろうなというのは2巻の時点で予想はついていたものの、まだまだ複雑な魔王たちの事情があるらしく、またも続きが気になって仕方がない終わりとなった4巻。