キミト宙ヘ 感想

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あらすじ

ぼくはポップ。学校で剣術を学んでいる。突然、王宮に呼びだされて、5年半ぶりに会った幼なじみのファミは……王女だった!? 「ファミの言うことをなんでもききます」という小さい時に書かされた誓約書をつきつけられ、ボディガードとして、銀河の旅へ行くことに! そして、はじめに降りたった国では、大巨人の亡霊が人々を滅ぼそうとしていた! 無鉄砲なファミが事件に首をつっこみ、見習いボディガードが世話をする!?

 

 

こわいもの係作者の新作。大宇宙帝国の王女ファミとその幼馴染の少年剣士ポップが銀河の果てを目指す珍道中。

簡単にいってしまえば『キノの旅』や『魔女の旅々』のような旅物語in宇宙。

バラエティーに富みすぎた星々を巡りながら愉快な仲間たちと宇宙の果てを目指します。

とにかく訪れる星々の文化がギャグからシリアスまでぶっ飛びすぎていて落差が激しすぎる。特にシリアスな星の思想は児童書でやっていいのかというハードなSF設定だったりします。

ネタバレ反転

例えば、北半球の人間は生まれた時にクローンを作り、クローンは何も知らないまま(まるで牧場のような)南半球の自然の中で育てられ、もとの人物が怪我や病気になった時、身体部位の移植に使われ、用が済んだら殺される星。

その星の名は「スコツ」、首都は「トランド」、王の名は「ドーリ」、医者の名は「ロスリン」

むしろ子供より大人のほうがこのワードを見て元ネタを連想できると思います。

例えば、脳だけの存在になって永遠に幸せな夢を見続けることを選んだ星。

ネタバレ反転終わり

あまりに相容れない思想に卒倒することもあります。

それでも、どんなに嫌悪感を抱く思想の星であっても、星の住人が自分たちの旅の妨害をしない限りは否定せず、ポップたちは自分たちの考えを押し付けたりはしません。

相容れない思想でも否定せず許容するという、大人でもできないことをやってのけるポップたちの姿勢には驚かされます。

ポップたちの行動を見て読者の子どもたちが「どうして酷いことをしているのにやっつけないの?」といった疑問を持って、なぜかを考えたとしたら意義があると思います。

もちろんシリアスな話は少ない方で、面白おかしい(完全にア○ギやド○ゴンボールのパロの)星の話やポップとファミの甘酸っぱい恋バナなど、こわいもの係のテイストを遺憾なく発揮している星のほうがメインなので、楽しく読めます。

 

そして旅の中でたどり着いた星、地球で彼らが遭遇するのは第17代こわいもの係アビゲイル・ワシントン!

そう、こわいもの係シリーズ13巻で登場した彼女が現役こわいもの係だった時の話です。しかもちゃんと13巻で彼女の思い出の中に伏線として用意されているんです。こわいもの係ファンは必見です。