リメイク版『ONE.』感想

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私の『ONE』履歴…はるか昔に小説版を読み、その後PS版『輝く季節へ』をプレイ済み。

今回リメイク版プレイ後、PS版、小説版も読了。冬休みは『ONE.』尽くしだった。

 


本当に原作に忠実なリメイク。今回PS版とリメイク版を同時進行でプレイしたのだけど、テキストの「殺す」が「殴る」になっているなどごくごく一部で差異があるがそれ以外は本当に徹底して原作そのままにリメイクされている。細かいところでは商店街にある店の名前「MOON」まで再現されている。

さすがに思い出補正を入れても画質、音質でリメイク版のほうが圧倒的に上。特にシステム面ではヒロインに厳しくしないといけない選択が多い本作で正解を示してくれるようになったのはとてもありがたい。PS版との並行プレイでも大いに助けられた。

なによりPS版はオートモードがなく◯ボタンで進めるか全スキップするかしかないうえに選択肢がノーウェイトで出るせいでぼーっとボタン押していると勝手に選択肢を選ぶ事故が多発する。前の選択肢に戻るなんてないから選択ミスに怯えないといけない。そのせいでストーリーに集中できない。ゲームとしても快適さが段違いである。

シナリオは今読むと荒削りな部分も多い。特に最近のゲームと比べると恋人になってからの時間が短すぎて拍子抜けしてしまうかも。あくまで若い才能が生み出した泣きゲーの原点というのを踏まえて読むべき。逆にいうとそれでも泣かせるんだからすごい。

改めて感じたのは『ONE』は小説版が原作にない場面の描写が豊富で優秀。解釈には賛否あるらしいが例えばみさき先輩の年賀状のくだりは小説版の補完が良すぎてそっちで記憶していたので原作ではその場面があっさり終わってしまって記憶の食い違いに混乱した。この小説も再販できないものだろうか。

個人的に旧作では茜とみさき先輩のシナリオの二強だったがリメイク版では瑞佳シナリオが一番感動した。
OPやタイトル画面での扱い、なにより石見舞菜香さんの演技が素晴らしく正に真ヒロインだった。共通ルートでは正にお隣の天使様、個別に入ってからの辛い仕打ちに耐える薄幸さと気丈さは石見さんの得意役とも言えるジャンルでドンピシャだった。
声といえば澪にボイスが付いたけど見事に吐息しかセリフがなかった。でもドラマCDでは心の声でセリフがあった。ソフマップGJ。

本当に久しぶりにプレイしたけど意外と覚えているところが多く自分の中で思い出深い作品だということを再確認させてくれたことに感謝。

 

最後に、徹底して忠実にしている『ONE.』だがでかいミスがある。

この場面、本来は謎の生物「主」のぬいぐるみを見つめるシーンなのだが、リメイク版ではクマのぬいぐるみに置き換わっている。にも関わらずテキストがそのままなので主人公がクマを認識できないという異常事態になってしまっている