去年読んだ本の感想(2023)

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2023年に読んだ本の中から文芸・実用からマイベストな1冊の感想

 

Keyの軌跡

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Keyの軌跡というより麻枝准の軌跡と言ったほうが適切。『MOON.』から『Charlotte』までのKey作品わあらすじから核心までガッツリ紹介、考察しているため読む際には注意が必要である。
ゲームの批評に留まらず、Keyの音楽であったり京アニのアニメ化がどう優れていたかなども含め、10年代までのKey(麻枝准)の総括的内容となっている。簡潔にに歴史を振り返るだけでも読む価値がある。
情報はWikipediaに載っているようなファンにはとっては周知のものも多いかもしれない。また作品の考察はあくまで筆者独自の考察のため、解釈に異論があるかもしれない。また、Key(麻枝)に対して批判的なことは書かない姿勢のため苦しい部分もある。
ただ、先に述べたようにこの本はあらゆるネタバレを含むため読者は必然的に生粋の「鍵っ子」に限られる。そういった読者にとっては作者が熱っぽく鍵作品について語る文章を読みながらゲームのシーン、BGMが思い浮かべ、作者の考察に賛同あるいは反論するうちにプレイしていた当時の熱を取り戻すことになるのではないだろうか。そして読後は無性にKeyの音楽が聞きたくなる。それがこの本の醍醐味だ。

それはKeyの軌跡、麻枝准の軌跡、そしてあなた自身の軌跡でもあるのだ。

 

 

ツインスター・サイクロン・ランナウェイ

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遠い未来、宇宙に進出した人類が気づいたのは驚くほど旧時代的な男尊女卑社会だった。男女ペアで宇宙の魚を漁をする社会の中で”男と組めない女”と”男の役割しかできない女”が出会い、常識を覆していく。想像力で自在に形を変える船を駆り、昏魚(ベッシュ)を猟る百合x漁業xSF。

序章は重厚なSF的プロローグから始まるのでどうなるのかと思ったら本体はポップな百合ストーリー。なにせ同性愛という概念自体が(ごく一部を除いて)ない社会である。この気持ちは一体何なのか?二人が不器用に惹かれていく様が良い。

赤毛の天然デカ女と銀髪の毒舌少女ということで水星の魔女がよぎる。(こっちの方が先である)が、百合という点ではこちらのほうがガッツリ描写されているため恋愛ものとしては水星の魔女より出来が良く、先にこちらを読んでいなくて良かったと思った。

SFとしては搭乗者の想像力によって自在に形をかえる礎柱船で「なぜか」地球にいる魚によく似た宇宙の魚(ベッシュ)を捕まえるというのが読み手の想像力を掻き立てる。

男女で組む規則のため女は着飾ってドレス姿で搭乗するというのも含めて映像化したら非常に映えそうだ。映画化してくれないかな。